最愛の君へ

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「では、満場一致のようだな。 兵士の調練の仕方はそれぞれ各個の管轄と部隊に一任する。 好きなように調練し、好きなように育ててくれ」 幹部であるリュウ、ゼロといった者達には、組織の精鋭部隊、いわゆる禁軍とは別に、それぞれに近衛隊士と直属の部隊が配属されているのだ。 ちなみに、実力では禁軍を大いにしのぐ特殊部隊「天龍」は、現在リュウが仮の部隊長として担っている。 「話…終わり…?」 セフィリアの話が終わり、解散ムードが漂っていた会議室に不意に桜の声が響きわたった。 「なんだ、桜? 用事でもあったのか?」 セフィリアがそう問うと桜は、 「うん…。 それに…みんなに…話したいこと…ある」 その言葉を聞いて、立ちかけていたヴェーダが席に座る。 全員の視線が桜に集中した。 微かに、頬を赤らめる桜。 「えっと…ね…。 少し…だけ…休暇が…欲しいん…だけど…」 不意に、桜はそんなことを言い出した。 「休暇? どうかしたのか? まさか体調が悪いとか…」 部下思いのヴィルバールが心配するのは、今まで桜が一度も休暇を取らなかったから当然と言えば当然だろう。
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