最愛の君へ

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「ううん…、違うの…。 確かめたい…ことが…あって…。 旅に…出たいんだ…」 「…どれくらいの期間だ?」 「…わからない…。 もしかしたら…明日帰って…来るかもしれない。 けど…一ヶ月後に…なるかもしれない…」 「…捜し物か?」 「とっても…大切な…」 「ふむ…」 ヴィルバールは一度目を瞑り、深く考えた後セフィリアに視線を送った。 セフィリアは先ほどから目を瞑っており、静かに桜の話を聞いている。 「どうする、セフィリア?」 「…」 「…お願い…します…」 「余程…」 ポツリ、とセフィリアが言葉を漏らす。 「桜がそれほどに求めるのだから、余程大切なものなのだろう。 それが何かは分からないが…見つけてこい、桜」 「じゃあ…」 「旅を許可しよう。 心配はするな。 留守は我々がしっかりと守る」 「有難う…ございます…!」 桜は満面の笑みを見せると、立ち上がって一度大きく頭を下げ、勢い良く会議室をあとにした。 「(待ってて…。 絶対に…見つける…からね… アクセル…!)」
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