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2×××年
テロ、戦争、天災
誕生日にだってなかなかサプライズ出来ない出来事が起こり続ける嘗ての地球は今や空っぽの鳥籠のようだ。
今生きている私たちも実はもう死んでいるのかもしれない。
『そろそろご飯にしようよ』
彼女の一言で私たちは荒野と成った都市の面影に腰を落とす。
どっかの軍人が落としていったレーヨンらしきものを彼女が私に2つ渡す
『美味しくないねぇ。賞味期限切れてるのかな』
対する彼女は最早何か分からない何かを食べていた。
『ねぇ、あの人私を撃とうとしてるよ。死んじゃうかもよ。』
脈絡がないのは彼女の特徴だ。その上虚言症の持ち主でも在る。
私は無視して乾いた白米を咬み砕く。
『ねぇ、大好きだよ』
私は頷く。
彼女がその場で跳ねる。
彼女が笑う。私も笑う。
彼女の身体の近くに転がった食べ物を見知らぬ誰かが貪る。
私はナイフでそいつを刺す。刺す。刺す。
笑顔の彼女の汚い唇にそっとキスする。
食べていたもののだろうか、それは酷く腐敗した匂いがした。
そして今日もまた
彼女を置いて歩き始める。
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