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「なら浮浪者さんで」
「ゲインだ!見た目でそうつけやがったな!?」
男――ゲインは口調荒々しくイザナを睨みつける。
「まあ、このさい名前はどうでもいいけど」
「…………俺はお前が知りたい情報は持ってねぇぞ」
「それを判断するのは僕らのほうだから。
あなたは答えるだけでいい。【イエス】か【ノー】か」
イザナは言いつつ、ゲインに近寄った。
ゲインはやや警戒するようにイザナを見ている……。
「単刀直入に聞きます。
【邪道具】を知っていますか?」
「邪道具?」
ゲインはわずかに反応する。
眉がぴくりと動いていた。イザナはそれに気づいたがあえて何も言わず続けた。
「邪道具とはね、古(イニシエ)の悪い【魔女】がつくった道具ですよ」
魔女……それはもはや伝説のような存在である。
小数でありながら彼女らの力はずば抜けていたらしい。
神、あるいは魔王に匹敵するほどの力を有していたと言う。
今現在の魔術の祖になった【魔法】を扱い、それは同じように伝説とされる魔族をも圧倒したとされている。
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