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「うーん…部活、目移りしちゃうねぇ」
実香子が腕組みして、首をひねる。
全校集会が終わり、生徒が体育館の入口から一斉に出ていく。私も実香子と入口の群衆に混ざる。しかし、混み合っていてなかなか進まない。
ドン
後ろからやってきた人が私にぶつかった。ぶつかった相手を見ると、ネクタイの色が2年生の男子で、数人で群れてニヤニヤこちらを見ていた。
感じ悪いな。
私はぶつかったくせに謝らないのかと心中で文句を言いながら無視した。しかし、ぶつかった男と同じ集団から笑い声と共に声が聞こえた。
「妹だよな?」
「似てねぇー!」
「まぁ、可愛いけどさ。やっぱり、茜さんと比べたら、劣るっつーか?」
「聞こえるって!茜さんに告げ口されるぜ?」
一瞬で悟った。こいつらは私が茜の妹だと知ってて、わざとぶつかってきたのだ。分かった途端、恥じらいとも怒りとも判別のつかない気持ちが胸に押し寄せ、顔が熱くなる。
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