出会い

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「大丈夫?」 くみがこっそり聞いてきた。いつの間にか隣にいて腕を優しく叩いていた。 「うん、ありがと」 くみは私が茜を苦手としていることを知っていた。実香子は知らないが、この状況に心配そうな表情で私を伺っている。 2人の私を心配する気持ちが嬉しくて、今だに注がれる好奇の視線も気にならなくなった。 そうだ。私は私、茜は茜なんだから。気にしない、気にしない。 昔から何度も唱えたことのある言葉を頭の中で復唱し、落ち着きを取り戻した。 「無視すんなよ」 「やっぱり、姉と違って性格悪いんじゃねぇの?」 今だに続く笑い声は、徐々に悪意を増している。無視されていることに我慢がならないようだ。 聞こえよがしな悪口に段々と怒りが込み上げてきて、言い返そうと構えたその時。 「後ろ、混んでるんだけど。退いて」
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