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陸上部の部室にたどり着くと、勝ち誇った顔をした女子が3人、ドアの前で待っていた。
「遅くなってすいません!」
心底申し訳ないと思っているような口振りで謝った。勿論、本当は謝りたくもないし、全く悪いとも思っていない。形式的な謝罪だ。
「はぁー、どれだけ待ったと思ってんの?」
待っていた女子の1人が睨み付ける。この中ではリーダー格に当たる2年生の山吹先輩だ。茶色に染めた髪の毛を巻き、メイクしている。とてもこれから運動をするとは思えない見た目だ。
「すいませんでした!」
再度、頭を下げた。だが、頭の中は不平不満でいっぱいだった。私が遅いのではない。先輩らが早いのだ。きっと、掃除をやらずにそのまま来てるのだろう。
「さっさと開けてよ!入れないじゃない」
偉そうに言うのは、同じ1年生でありながら、山吹先輩の腰巾着と化した桃山だ。山吹先輩の影響をもろに受け、こちらも真面目に部活をする気がなさそうだ。
不快な表情を見られないように急いで鍵を開けた。
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