姉と私

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全学年が揃い、静かになった。 「全校生徒が揃ったので、全校集会を始めます」 マイクの声が体育館に響く。声の主は中央で話している。 その瞬間、今最も会いたくない人の声に、私は逃げ出したくなった。 「司会進行は生徒会書記、2年の村咲茜が行います」 1年生がそこかしこで囁く。 「めちゃくちゃ綺麗じゃん」 「同じ人間に見えなーい!!」 「生徒会って頭良くないと入れないんだよね?」 全てが誉め称える言葉。 「あの人、要の…」 隣に座る実香子が私に顔を向ける。校長の鬘の会社まで知っているのに、実香子は私と茜の関係を知らないようだ。 「……姉だよ。茜のこと、知ってるの?」 「やっぱり?!村咲茜といえば、勉強もスポーツも出来て、性格も良い、非の打ち所のない天才美少女でしょ?うちの中学でも有名だったもん!」 興奮した声で話す実香子は茜をうっとり眺めている。実香子は茜がどんなに優れているか知っていた。ただし、私が茜に対してどんな気持ちを抱いているかまでは知らなかった。
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