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何かが起こる。
いや、何かが起こって欲しい…。
そんなどうしようもなく、叶いようもない願いを俺はひたすらに望んでいた。
生まれてからずっと、俺の周りには暴言暴力自己中女が常にいて、非現実とは程遠い平凡な毎日を過ごしてきた。
ただそれは、大切なアイツ等と過ごす刺激的な日常への前フリだったのかもしれない……。
……………
………
…
「はぁ…」
ただ今登校中。
左頬に大きくできた紅葉をさすりながらトボトボ歩く俺……。
新年度早々なぜこんなみっともない顔で学校行かないといけないんだ……。
「…ふんっ!」
隣にはプンプンしている幼なじみ約一名。
「はぁ…」
愛音がこっちの世界に戻った後、俺が作った朝食を食った。
毎日毎朝手間隙かけて作るのはハッキリ言って堪える……。
しかし、一人で食べるなら未だしも、他人の口に入るとなると訳が違う。
そんな事を考えているからか、こっちに越して来てからの一年間で、俺の料理クオリティはかなり上がった。
今では家庭料理の定番と言われる物なら大抵作れる。…まぁ手の込んだイタリアンも多少作れるが……。
その理由はまた今度話すとして…。
食べ終わり、着替えるために自分の家に帰った愛音。…まぁ隣なんだけど……。
愛音が出て行ってすぐ、事件は起きた。
アイツの部屋から叫び声が聞こえ、家を飛び出した俺。
愛音の家に入った瞬間、目に映ったのはペタリと座り込む我が幼なじみ。そして俺に向かって迫ってくる地球最強の繁殖力を持つ生命体。
…ゴキ君ですね、分かります。
即座に壁に避ける俺。
ドアは開けっ放しなので、外の世界に飛び出して行くゴキ君。
今だ放心状態の愛音。
なんだ、特に変わりはなしか…。
たかだかゴキ君なんぞで近所迷惑な叫び声あげるんじゃねぇよ…。
しかし、さっき俺の家で見た時と明らかに違ったのは大きく開いた胸元。…完全にブラがこんにちわしてました……。
愛音の肩を叩き、現実に引き戻す。そして今の状態を伝える。
一呼吸おいてパーが来ました。
そりゃもう、目にも止まらぬ速さで……。
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