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約15分ほど歩き、俺らが波丘高校が見えてきた。
途中隣からいろいろ暴言やらパンチやらキックやらが飛んできたが、すべて華麗にスルー。
毎朝の難関、この長い長い地獄坂(俺命名)を5分間登り続け、只今校門前。
「一年経っても慣れねぇな、この坂は……」
LPが半分になった感じだぜ…。
「なによ…無視しなくったってさ……だいたい巧が……ブツブツ……ブツブツ…」
……無視!!
自業自得な愛音はほっといて、クラス表でも見に行くか。
俺は新しいクラスに若干の期待と、猛烈な不安を感じながら門をくぐった。
物影に隠れる爆弾に気づかずに……。
愛音にもそろそろ声かけてやるか…。
「愛音、そろそろ行…」
「たくとっく~んっ!!」
突如背後から聞こえるソプラノボイス。明るく、そして嬉々を帯びたその声は俺のよく知るものである。
だが、そんな元気な声とは反対に俺は激しい焦りと危機を感じていた。
「……、逃げよう」
もはや振り返る事が現状悪化を招く。今すぐ走り出すのが無難だ。
…が、時すでに遅し。
「カナちゃんダ~イブ!!」
「ぐふっ!?」
この人の嬉々は俺の危機を招くらしい…。
俺、今上手い事言ったな…。
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