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「先輩、降りて下さい」
「なんだよもぉ、つれないなぁ」
つれないのではありません。周りの目線が痛いんです。てかスリスリしないで下さい。
「いいから生徒会長は挨拶してて下さい!」
「ラジャーッ!たっくんのご所望とあらば!」
はぁ…。
元気ハツラツキャピキャピな彼女は諸月 華那(モロヅキ カナ)
この学校の生徒会長にして才色兼備、頭脳明晰、おまけ長身なうえにスタイル抜群!な絵に書いたような完璧ガールである。
腰まで伸びた漆黒を思わせる長髪は、大人びた優雅な雰囲気を漂わせている。
だが実際はそうではなく、まるで小学生の低学年のようなはしゃぎぶり。てか明るい。
実際この学年のアイドルであり、今は朝の挨拶中だ。つまり視線が痛い。
「先輩、恥ずかしいからやめて下さいよ……てか新学期早々殺す気ですか…?」
もうファンクラブやらファンクラブやら野次馬の視線が。
そこ!ナイフは凶器です!
いやいや、スタンガンも凶器ですよ!
やばい!みんなが狂気で侵されてる~!
「ねぇねぇ、たっくんも挨拶しようよぉ~」
「眠いしダルいんでパスです。てか俺も会員なんであんまベタベタされると規約違反なんすけど…」
そう、なにせこの俺もファン会員。規約の中には華那様との極度の接触禁止というのがある。にも関わらず……。
「私が許可してるんだからいいんだよ~、たっくんは特別待遇なのだぁ」
んなにんまり言われたって…。
でも恥ずかしさ半分うれしさもあるんだけどねぇ。
てかさっきからあたるふくよかなマシュマロがなんとも…。
「まぁ、うれしいっちゃあうれし……」
「なに抱き着かれながら話し込んでんのよーー!!」
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