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えーと…俺は今の状況を整理してみよう。
今日は昼下がりの土曜日。心地よい風が窓から吹き込んでいるが朋也は冷や汗をだらだらと流しながらすでに思考停止状態にある頭を必死に動かしてなぜ今この様な状態なのかを考えた。
何でだ…たしかあれはこの間の水曜日だったよなぁ。
水曜日、昼休みに杏と弁当を二人で食べていた時の事。
「ねぇ、朋也。あんた土曜日暇?」
「何を突然?」
まだ付き合って日は浅いがこいつの性格はよく知っているので別段驚きはしないが。
「んにゃ、特に何もないが。」
大体いつも暇を持て余して土曜日は午前中で終わるのに春原の部屋で時間を潰すくらいだ。
「ならちょっと遊びに行こうよ。ね?」
仮にも付き合っている彼女から遊びに行こうと誘われイヤという男は流石に世界どこを探してもいないだろう。
「いいぜ。どこに行くんだ?」
俺がどこに行くのか聞くと杏は
「うん、土曜日を楽しみにしてて。」
取り付く島もなかった。
「あぁ、まぁいいや。」
と言っていたのが水曜日。
そしてさっき学校が終わり杏と合流し突然「私の家に来てほしいの。」と言われたのだ。
ようやく頭が回り始め「あいつ遅いなぁ。」
と呟いてあらためてあいつの部屋を見回すと意外とヌイグルミとかが多く、案外女の子ぽい部屋だった。
と、そんな事を考えていると扉がノックされて杏が入ってきた。
「あっ、杏遅かっ…た…な。」朋也は言葉を失った。
そう何と杏は薄い紫色…光加減では桃色にも見えるワンピースを着ていた。
「はは…、朋也。似合わないよね?」
杏はかなり恥ずかしそうに言った。
しかし俺は
「いや、杏、よく似合っているぞ。」
「えっ…?」
一気に杏の顔が赤くなった。
「本…当に?」
「本当だよ。」
あっ…俺の顔も赤くなってるなぁ。
「よかった…。もしかしたら引かれちゃうかもって思ってた。」
「馬鹿だなぁ。大好きな人がこんなに頑張っているんだ。引くわけないだろう。」
「よかった…。」
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