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食堂車で眠っている良太郎を見つけたユウ。
「ハナ、毛布あるかな?」
「あるわよ。ちょっと待って」
コハナちゃんが出してくれた毛布を受け取りそっと良太郎に掛ける。
すると良太郎がふっと笑顔になり、うっすら瞳が開いて
「…侑…斗…あり…がと…」
「?!」
寝言のようで良太郎はまた眠りに落ちる。
『野上!起きろっ!こんなとこで寝るなっ!風邪引いても知らないからなっ!』
侑斗…?
うん、そうだね。
今起きるから…
ゆっくり目を開くとぼんやりと目の前に誰かいることがわかる。
誰だかよく見えなくて
「侑…斗…?」
「じいちゃん!起きた?」
呼ばれて視界がはっきりしてそこには幸太郎の姿。
「幸太郎…」
「寝るならベッドの方がいいよ?」
「…今、侑斗がここにいなかった?」
「は?…いないけど、てかいるわけないじゃん」
「そう、だよね…」
俯いた良太郎は自分に掛けたれた毛布に気づいて
「これ、幸太郎が?」
「俺が来た時には掛けてあったよ」
毛布を見つめて握り締める良太郎。
そんな良太郎の姿を幸太郎はただ見つめていた。
夢は夢のまま
デンライナーから降りユウが食堂車両を見つめていた。
「ユウくん?」
「デネブ」
「どうかした?」
「…ううん、なんでもない」
降って来そうな星空を見上げた。
今はまだ未来は見えない…
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