Time For Scare

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「えっ? うん……ええ!? な、何? ナンパですか?」 (い、いきなり? いくらカッコ良いイケメンお兄さんでも……)。  彼女は、目の前の男性に、アドレスだけならOK? 思考を働かせる。 「うーん……ちょっと違うけど、似たようなもんかな、楽しいよ?行く?」 「でも、時間も遅いから、帰らなきゃイケないし、あの? アドレス交換しませっ――」  彼女が携帯電話を取り出した瞬間。  首に痛烈な感覚と衝撃に、彼女の全ての動きが止まった。 (痛い!! 何故? 何が起こったの?)  その光景は、見れば男性が隠し持っていた怪しく光るナイフは彼女に振りかざし、首を刺してる。  鈍い痛みと共に彼女の意識は途切れそうになって行った。  彼女の細く微かに血管が浮き出てる首の頸動脈に、深々とナイフは食い込んで刺さって行く。 「イヤだよ……お前は好みじゃないし、標的じゃないから」 「……や、止めてょ。た、助け……」  男は、少女の言葉を無視して、ナイフを躊躇いも無く抜く。  少女の首から鮮やかな血液が流れ出す。 「いがぁ゙ぁ゙……」  痛みとあり得ない位の出血で彼女の身体中の細胞が危険と騒いでる。  彼女は必死に生にすがろうとするが、言葉を紡ぐ事は出来ない。 もう意識は切れかかってる。彼女は自分の最後を感じていた。  口からは、ゴポゴポと音立て、喉に血が溜まり言葉に成らない。  そして、滝の様に彼女の血の波紋が広がって行く。  衣服を赤く染める。そして……同時に、彼女体が微かに痙攣する。  彼女の意識が断続的に飛び、壮絶な痛みが襲う。 「モゥハヤク……殺 テ……」  彼女は最後の渾身の力を振り絞り、非道な最後の願いを哀願する。 「嫌だね……あーあー。人って壊すと、醜いから嫌いだな。さぁ、また獲物を捜そう」  彼女の最後に聞いた男の声は、人を人間と思って無い残酷だった。  彼女は朦朧とした意識の中で、口を微かに動かし、両親を呼ぶが、声にならない。  身体中の痙攣や動きが止まり、血の池に浸った肉塊に変わった。  それは美しい新鮮な蝋人形の様で、夜の住宅街の一角に捨てられたマネキンにも見える。  そしてフードコートの男性は、死体になった少女を無視しながら、無邪気な声と、軽やかな鼻唄を闇夜の住宅街に響かせ、鳥の様に跳躍し、瞬く間に消えた。
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