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ユウが手を伸ばすと同時に、現実の世界に引き戻される
無線機から中尉の声がする
「シルバーフォックス返事をしろ!聞こえるか?」
「…!すっすいません」
「何をしてる!レインボースワンと共に攻撃を仕掛けるぞ!」
「はっはい!」
我に返ったユウの機体が、建物の影からアンノウンを覗く。カメラがターゲットを絞り込む。そこには、不気味などす黒い生物が蠢いていた。
「ヒット&アウェイだ!接近し弾を撃ち込んだら、離れて再び建物の影に隠れろ」
「了解」
ジュリーもユウに一喝を入れる。
「ユウしっかりしてね!隊長なんだから!」
「ああっ悪かった…もう平気だ」
「ジッ…こちらエレファント!行くぞ!」
中尉機が先頭を切って走り出す。それに伴いシルバーフォックス機、レインボースワン機が後を追う。
プラズマガンを構えながら、自走機にて疾走して行く。
後方からキャノンの弾道が走った。
弾が当たると共にターゲットが雄叫びをあげ、再び光を帯始めた。
ユウ達3機とサイドからジュウロク機が挟み込み、プラズマ弾を放つ。それに続いて、第2分隊も一斉に砲撃した。
しかし、プラズマ弾はその光のバリアに吸収されダメージを与えられ無かった。
立花中尉が退避命令を出す。
「引けー!来るぞ!…ちっなんて機体だ」
ユウ達は反転してすぐさま距離をとり、急ぎ建物の影に隠れた。
再びアンノウンより無数の光線が放たれる。
破壊される建物、土埃が舞う大地…。想像を絶する破壊力で、市街地を瓦礫の山へと変えていく。
「被害報告!みんな無事か!」
ジュウロク機とロク機より連絡が来ない。
「ちっ…これじゃ全滅させられてしまう。ジッ…こちらエレファント!サン!援軍を呼べ!」
「ジッ…こちらサン了解」
無線を交わし、必死な対応をする部隊の目の前では、光のバリアを消すこと事無く光輝く『アンノウン』の姿があった。
巨大な牙の付いた口を大きく開けながら『アンノウン』が吼える。よく見ると、ゆっくりと方向転換をしているではないか。
立花から現状報告…。
「ターゲットが進行方向を変えるぞ!」
方向を変えた『アンノウン』は、重量のある巨体でゆっくりと歩き出した。
徐々にこちらに近づいてくる『アンノウン』。
小隊がプラズマ弾やキャノン砲を浴びせるが、その光のバリアが全てを吸収してしまう。
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