悪夢

7/7
前へ
/38ページ
次へ
 ユウの目の前を通り過ぎる不気味な巨体。その隙を見てユウは、ブレードを引き抜き奴に突撃して行った。  その姿を見た中尉が注意を促す。  「シルバーフォックス!不用意に近づくな!」  ブレードは光のバリアを貫通し、その機体の肉とも思える部分に装甲の間を縫って突き刺さった。  その傷から赤い血が流れ出ているのが確認出来る。脈打つターゲットの皮膚…。  「こいつ…生きてる…」  雄叫びをあげた敵機が再び光線を放った。  立花中尉とジュリーがその光景を見て叫んだ。  「シルバーフォックス!」  「ユウ!」  純白の巨大な光に包まれていくユウ。何故か、懐かしく温かい温もりさえ感じる…。  その光の中に再びナナの幻影を見た。  2人の服がはだけていき、裸で接近して行く…。  …やはり…君なのか…?  ナナは無言で首を横に振った。  ゆっくりとその時間が流れていく…  二人が抱き合った瞬間、機体に振動が走った。  M・Aの四肢が光線により吹き飛ばされたのだ。腕部と脚部が弾け飛び、光の中で消失して行く。  立花中尉とジュリーが再び叫ぶ。  「ユウゥゥゥ!」  「こちらサン…隊長HQから帰還命令!」  「何!?帰還命令だと?」  それを知ってか知らずか、謎の機体はゆっくりと町の外へと移動して行く。  ユウの機体は奇跡的にコクピット部分のみ残して無事だった。  「ジッジジジジ…ユウ?平気なの…」  「ピッ…ザザザザー…こちらシルバー…」  「隊長!ユウ軍曹生きてます!」  ピピピッ…機体損傷65%…マスタ-生存確認直チニ機ヲ離脱シテクダサイ…  「…ナ…ナ…」  ユウはそのままコクピット内で気を失ってしまった。  ハッチを開けユウの顔を拝めた立花は、彼のただならぬ強運に感服したように呟いた。  「運のいい奴だ・・・」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加