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ユウの目の前を通り過ぎる不気味な巨体。その隙を見てユウは、ブレードを引き抜き奴に突撃して行った。
その姿を見た中尉が注意を促す。
「シルバーフォックス!不用意に近づくな!」
ブレードは光のバリアを貫通し、その機体の肉とも思える部分に装甲の間を縫って突き刺さった。
その傷から赤い血が流れ出ているのが確認出来る。脈打つターゲットの皮膚…。
「こいつ…生きてる…」
雄叫びをあげた敵機が再び光線を放った。
立花中尉とジュリーがその光景を見て叫んだ。
「シルバーフォックス!」
「ユウ!」
純白の巨大な光に包まれていくユウ。何故か、懐かしく温かい温もりさえ感じる…。
その光の中に再びナナの幻影を見た。
2人の服がはだけていき、裸で接近して行く…。
…やはり…君なのか…?
ナナは無言で首を横に振った。
ゆっくりとその時間が流れていく…
二人が抱き合った瞬間、機体に振動が走った。
M・Aの四肢が光線により吹き飛ばされたのだ。腕部と脚部が弾け飛び、光の中で消失して行く。
立花中尉とジュリーが再び叫ぶ。
「ユウゥゥゥ!」
「こちらサン…隊長HQから帰還命令!」
「何!?帰還命令だと?」
それを知ってか知らずか、謎の機体はゆっくりと町の外へと移動して行く。
ユウの機体は奇跡的にコクピット部分のみ残して無事だった。
「ジッジジジジ…ユウ?平気なの…」
「ピッ…ザザザザー…こちらシルバー…」
「隊長!ユウ軍曹生きてます!」
ピピピッ…機体損傷65%…マスタ-生存確認直チニ機ヲ離脱シテクダサイ…
「…ナ…ナ…」
ユウはそのままコクピット内で気を失ってしまった。
ハッチを開けユウの顔を拝めた立花は、彼のただならぬ強運に感服したように呟いた。
「運のいい奴だ・・・」
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