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その言葉が意味する無情さと矛盾を、一番理解しているのはユウ本人だった。
「さあ、早く移動させないと中尉にどやされるぞ」
立ち並ぶM.Aの中に、三星のエンブレムが刻まれる機体があった。中尉専用機。彼もまた出撃するようだ。常に最前線に身を投じる中尉であった。
翌日…部隊は12機の機体と共に、択捉島上空にいた。
ユウは何故か、内心良からぬ事がおこるのではないかと言う不安にかられている自分がいるのに気が付いた。それが、何かかは今のユウにはわからぬ事であった。
ユウ達第12小隊を乗せた空輸機は、得茂別軍空港に到着。
ここでM・Aを降ろす。
機体の整備と武器の装着を済ませると、ユウ達はブリーフィングルームへと呼ばれた。
立花中尉
「今回の作戦は偵察だが、ロシア軍の行動次第ではこの択捉島トシルリ在日ロシア基地を叩く事も許可されている。装備は万全を期して行け!まずはトウロの町まで機を運び、この湖の畔にキャンプを張る。ロシア軍には軍の演習だと通告しておくが、何がおこるか分からない。注意して事を進めろ!その後トシルリまで近づき作戦を決行する。
交戦状態になった場合は、直ちに空軍に援軍を要請。この得茂別軍空港より5機のFS-V10が飛び立つ算段になっている。翌朝0630に出発する。全機トレーラーに車載。直ちに準備せよ!」
「「イエッサー」」
ユウ達は、直ちに自機を輸送用トレーラーに車載。そして、眠りについた。
翌朝0630出発
ユウ達は輸送トラックの中にいた。
「どんな気分だい?今」
無表情のサンにユウが、話しかけた。
「私は私の任務を遂行するまで…。気分なんて物はありません」
それに気付いたジュリーが、ユウの腕を持ち揺さぶった。
「止めなよユウこの人達に、感情なんて物が無いのは知ってるでしょ?何を聞いても無駄よ」
ユウは、ジュリーを宥めるようにしてジュリーの腕を外した。
「まあ待て…。いろいろ聞いてみたいんだ。君は14歳かい?学校に行きたいだろう?」
新人のナンバーズに声をかけるが、彼らにはいまいちユウの言っている事が理解出来てないようだ。その1人、サ-ティンが答えた。
「…学校とは何ですか?軍事教習所の事ですか?」
ユウは言葉を詰まらせた。聞いた自分に、後悔の念を覚えた。その様子を見たジュリーが、少し苛立ち気味に言った。
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