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「いえ…何でもありません…。へい…平気です…」
「ローウェル伍長…。いや、ロズウェル伍長と言った方がいいかな」
その立花中尉の言葉に凜として、ジュリーが答えた。
「いいえローウェルで結構です。その名前はもう捨てたので…」
「ではローウェル伍長!名取軍曹が調子悪そうなので、どこかで休ませて来てくれないかな。もし交戦状態になったら足手まといになる。余りに酷い場合は、キャンプ地に帰還させよ」
「了解 隊長」
ジュリーはユウに肩を貸すと、そのままユウの機体の方へと歩いて行った。
「ユウこっちに来てから何か変だわ…」
「すまない…本当に何でもないんだ…。直ぐに治るさ」
「でも…少し休んどいた方がいいわね」
ジュリーはユウを機体の座席に座らせた。
ユウは何かに怯えていた。感じていたのだ。昔の彼女にも似たこの感覚を…。
この感覚…ナナだ…間違いない。呼吸が整うと同時に、ナナを失った時の恐怖が脳裏を走る。
ジュリーはユウの脇のポケットに、マリファナを忍ばせた。マリファナは勿論違法だが、軍では医療用に特に許可されていた。
「これで少しは気が楽になるわ…」
「ありがとう…」
ユウはそう言うとジュリーの瞳を見つめた。助けてくれと言わんばかりに…
しかし、ジュリーは目をそらした。
無言でそんな寂しい目で、自分を見つめないでと言うかのように…
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