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キャンプ本部
立花中尉が、黒板にイイの撮ってきた写真を張りながら言った。
「イイ先任伍長が撮影したハンガー内部の写真が…これだ…」
その写真には、どす黒い血の色とも思える装甲色をした巨大な機体が一機、写っていた。
「これは何だと思う?」
中尉の問いにサン軍曹が答える。
「ロシア軍の新型かと思いますが…」
その写真のあまりのグロテスクさに、ジュリーも思わず答えた。
「嫌に不気味な機体ね…」
「隊長!私が見た所機体の下部が、脈打つように見えました」
写真を見てトシが何かを思い出したらしく、割って入ってきた。
「昔ティボラビッチ氏から、小耳に挟んだ事があります。旧ロシア連邦にも生物兵器研究所があり、そこの教授がティボラビッチ氏と知り合いだとか何とか…」
ハチがその唐突なる言動に、付け加えた。
「もしかしたら、その研究所で作られた生物兵器なのかもしれませんね…」
数々の意見が飛び交う中、彼らの意見に納得する立花中尉。
「有無そうかも知れんなぁ…。名取軍曹…貴様が感じた事を答えろ!ティボラビッチ氏から貴様等の体や精神に、異変があったら報告するように言われてるからな」
「…感じるんです…ここに来てからずっと…」
立花は不思議な事を口走るユウの言動に、興味を持った。
「何を感じ取っているんだ?」
「…ナナです…ナナと同じ波動を感じます」
「ナナ…か、やはりあれは生物兵器に間違いないかな。確信はできないが…」
そう言った立花中尉は部下にHQに連絡を取らせようとした。しかし、まだ確信を突いた訳ではない。念の為に、HQからの指示を受ける為だ。
「急ぎ陸軍本部へ連絡しろ!ジュウゴ上等兵」
「イエッサー」
ジュウゴは敬礼をし席をたった。
「もう少し調べる必要がありそうだな…」
…数時間後
通信士のジュウゴ上等兵が、HQからの打電を受け取った。何やら緊急事態のようだ。
「隊長陸軍本部から打電です。トシルリより南西に10kmの町に、正体不明の機体が現れたようです。既に地元警察のM.Aが、出動しておりますが手に負えず。陸軍に協力要請が入ったそうです。一番近い我々が救援に向かえとの事です」
ジュウゴは伝令し終えると敬礼をした。
立花中尉が早速命令を下す。
「恐らく…奴か…。隊員を直ちに集めろ!出撃準備だ」
「了解」
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