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「やっぱ変わんねェな、お前は! いつまでも受け身のまんまでよ~」
攻撃の手を止めた新宮は、ダンゴムシのように丸まる俺の背中に足を乗せ、笑う。
「ハハッ。そんなんで、悔しくねェのかよ」
「…………」
悔しくないのか?
新宮たちにいじめられていた中学時代の俺は、悔しさだとか怒りだとか、そういった負の感情はなるべく表に出さないように内側に抑え込んでいた。
そして、吐き出せずに段々と溜まってくるそれらを消し去るために、叶わない妄想を文にしてひたすら紙に書き殴っていた。
「悔しかったら、俺を殴ってみろよ。オイ?」
抗えば抗うだけ、余計に暴力を奮われるだけだから。
新宮に抵抗するなんて、この男を殴るなんて発想は浮かんでもすぐに消えていったし、叶わない妄想だと思っていたから──
「俺の顔に一発だけでも、入れてみろや? まあ、根性なしのお前にゃ無……」
「……やってやる」
──あの頃の俺は。
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