第一章 マリー

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あれからどれ位時間がたったのかはわからない。 女達はみんな泣き疲れたのかグッタリしている。 連れていかれた者達は帰って来ない。一人、また一人と隣の部屋に消えて行った。 『次!6番!』 マリーの番が来た。 マリーも疲れていたのか、抵抗もせず自分からフラフラと扉に向かった。 ゆっくりと扉が開く。 一歩また一歩と足を踏み入れる。 ヒンヤリとした空気がマリーを包んだ。 先程の部屋よりは大分涼しいようだ。 広さはたいして変わらない。 部屋の中心に緑色の診察台のようなものが置かれている。 その横には白衣を来た初老の男。そしてさっきの四つ星男。 『6番、服を脱いでここに横になりなさい。』 『…やっぱり…』 台を見た時点で予想は出来ていた。 自分そこで“何か”をされる。 そして拒否しても無駄な事も… 言われるがまま、服を脱ぐ。マリーの白い肌は、蛍光灯に照らされ、さらに白さを増した。 診察台に横になると、暴れないようにか、男に手を押さえられた。 足は開いた状態で台に備え付けてある器具に固定された。 『暴れると時間を食うからな、大人しく見てもらえよ。』 マリーはこの時処女だった。 悔しさと恥ずかしさで涙が出そうになる。 だが泣かなかった。泣いたら負ける気がしたから。 泣いたら壊れる気がしたから。 白衣の男はゴムの手袋をはめ直し、カチャカチャと“何か”の準備をしている。 『痛ッ』 急に足の間に痛みを感じた。 何か冷たい金属を入れられている。 中で何かが動いている。 初めての感触。 痛い。冷たい。気持ち悪い。 何をしているか確認したいが怖くて見れない。 『やだ!痛い!やだぁ!!』 マリーは頭を降って抵抗した。 手足を固定されていてなんの意味もなかった。 ふと手を押さえている男と目が合った。 男の顔はニヤついていた。 それと同時に白衣の男が言った。 『異常はないね。 それに処女だなこの子。 締まりもいいし、いい仕事するよ』 マリーはぼやけて遠くなる意識の中やっと理解する。 『自分は死刑囚専用慰安婦になるんだ』と。
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