第一章 マリー

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マリーはハッとした。 『知り合い?私の知り合いって?』 誰一人として『顔』が受かんで来ない。 もちろん名前もわからないのだ。 いたはずの家族や友達の事が何一つ思い出せない。 マリーは考えた。 蒸し暑い部屋の中、冷や汗なのか、なんなのかわからない汗で服をびしょびしょにしながら。 だが、考えれば考える程、マリーにとって悲しい答えにしか辿り着かなかった。 知り合いどころか、自分の名前、年、故郷… 何も覚えていないのだから。
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