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水戸がスマッシュの餌食になるのを、康高と千早の二人は苦笑いで眺めていた。
「あれが…部長さん?」
「そ、一東の部長にして、シングルス全国区の朱雀翔吾先輩。いろんな意味で最強―――!」
再び空を切るシャトル。
顔面すれすれに横切ったそれにビビり、体を固くする。
千早は顔を真っ青にしながら、隣の康高に大声を放った。
「康高っ!おまっ、なんで今打ち返さなかったんだよ!!」
「だって今のは千早が悪いじゃん」
「う………」
正当な理由。故に言い返せない。
千早に対して、朱雀がスマッシュを放ったのは、彼が「いろんな意味で最強」なんて言ったからだ。
すなわち千早が悪い。
「悪いことしたら、それなりの罰受けないと」
「君、なかなかわかってるね」
「あはは。どうも」
朱雀に笑顔を向ける康高をただ呆然と見つめる。
そうだ。こいつも朱雀部長と同類だった。
今更ながらそのことを思い出し、大きなため息をつく。
無論、全く同じではない。
(つーか朱雀部長いつの間に………)
そばに来ていたのに気付かなかった。
神出鬼没というか、何というか………。
この部長には適わないと改めて実感する。
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