少年、舞い降りる

9/12
前へ
/28ページ
次へ
それでも準レギュラーを相手にさせるのか。 その場にいる誰もがそう思った。 “準”がついても、彼らが実力者であることに変わりはないのだ。 それこそ、レギュラーに及ばずとも、一般部員よりも確かな力を持っている。 「ボクはいいですよ。準レギュラーでもなんでも」 さらり、と少年が言い切る。 来たよ、康高の爆弾発言。 千早は苦笑いを浮かべ、だが、どこか楽しそうな顔をしていた。 「とりあえず、試合をさせてもらえれば、良いんです。てか、させて下さい。 ここの所、同年代はこの人(千早)しか相手にしてないので」 「この人ってなぁ…ま、ホントだけど」 二人の発言に驚きの波が広がる。 神崎千早しか相手にしてない。 それが千早でなければ、状況は違っただろう。 千早であるから、驚きなのだ。 「てめぇ、ふざけんな」 「………?」 一人の生徒が前に出てくる。 黒髪、短髪。パッと見は優等生。 しかし、その目付きの悪さはどっからどう見ても、優等生とは程遠い。 突き刺さるような鋭い視線だ。そのうえ、怒りもこもっている。 「どこのどいつだか知らねーが、あんまり一東(ウチ)を嘗めないでもらおうか?」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加