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そんな時だった。
1人の少女が康高の横を駆け抜けた。
小さな風が起こり、2人がすれ違う。
「……ん?」
自分の足元に何かが落ちていることに気が付く。
首を傾げながら、手帳のようなそれを拾い上げる。
「これ………生徒手帳?」
間違いない。生徒手帳だ。
康高自身も自分の名前が書かれたそれを持っている。
ページをめくり、名前がないか調べる。
「西里瀬奈………女の子?」
そこまで見て、ようやく気が付いた。
この生徒手帳はさっきの少女のものだ。
彼女の走って行った方向を見る。
それと同時に、大声で呼び掛けた。
「すみませーん!西里さん落とし物でーす!!」
「えっ?」
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