シットリズッシリ

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私はユウタから石を奪うと、印篭のように突き出し、叫んだ。 「キリン!キリン!私が挨拶してたのはキリン!あんたと同じにしないで!」 「あ、やっぱり挨拶してたんだ。同じだ。」 ユウタは嬉しそうに笑っている。 これでは拉致があかない。 「もういい!このキリンは私が持って帰る!」 すると、少し間があった。 見ると、ユウタは真面目な顔。 「待って。」 「な、何よ。」 「お前が持って帰ると、俺、挨拶できなくなるだろ?・・・なんつうか、コイツに挨拶しないと、調子出ないんだよな。・・・時々でいいから、貸してくれないか?」 ・・・挨拶しないと調子出ないなんて、私と同じ。 ユウタも、この石の虜になってるんだ。 私は少し楽しくなってきた。 「なら、毎日交換しあうってのはどう?」 その言葉を聞き、ユウタも笑う。 「いいね!交換石か!」 そうして、二人で笑った。 雲が流れて、光が、ちょうど、私達を射した。 眩しい中、私は石をそっと握り締めて、心の中で呟いた。 やっぱり、不思議な石。 ありがとう、キリンチン○石。
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