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いつもの駅前駐輪場。
雨が降りそうな日は、でっかい桜の木の下に、自転車をとめる。
鍵をかけた私の足元。
石。
奇妙な形だった。
平べったい楕円の先っぽからすっと伸びた部分があって、その先がまた小さな楕円になっている。
言うなれば、キリンの足が無い形。
そう、キリン石。
見つけてしまった。
その日から、私はキリン石の虜。
毎日、天気がよくても桜の木の下に自転車をとめた。
もちろん、石は木の根本に移動済み。
踏んだら可哀想だから。
そして、朝のおはよう、夕のただいまをキリン石に。
私にとって特別な石。
返事は無いけど、大切な友達みたいになるには、時間はかからなかった。
私が見つけた、私だけの特別な石。
ひょっとして、本物のキリンが魔法で石に変えられたんだったりして!
なんて考えては、毎日クスクス笑っていた。
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