...ことの始まり...

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「まぁ今日は俺も急に誘ったし。悪かったよ」 さわやかに、好印象にさらりと言ってのける男に、一稀には孝志がモテる理由がわかった気がした。 「いや、俺も付き合い悪くて…ごめん」 言うと、孝志は一稀の肩にポンと手を置きまた笑った。 「いいよ。もうすぐ愛美(マナミ)ちゃんの誕生日だろ?」 「あぁ」 愛美、とは一稀の妹だ。 中学校に上がった最愛の妹に、一稀は今年腕時計を贈ろうと思っている。 「プレゼントもいいけど、無理すんなよ」 「…ありがと」 孝志の優しげな眼差しに、一稀も思わず綻んだ。 孝志は中学からの付き合いで、親友とも言える間柄だ。 昔一稀が一番辛かったとき、ずっとそばにいてくれたのが孝志で。 それから孝志はずっと一稀を気にかけてくれていた。 友達付き合いの悪い一稀を遊びやサークルに誘ったり、相談に乗ってくれたり。 本当に、感謝している。 「…なに?」 じっと見ていたのに気づいたのか、孝志が訝るように覗きこんできた。 「いや、イケメンだなと思って」 「だろ」 「やっぱうそ」 「ちょ、ひでーっ」 そうして笑い合ったあと孝志と別れ、一稀はバイト先であるファミレスへと急いだ。 .
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