403人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいよー、気にしないで。無理そうなら言ってね」
あはは、と明るく笑う辻城に、一稀はいくらか救われたような気になった。
「ありがとうございます」
「じゃ、私は戻るね」
そういって辻城は持ち場へと立ち去る。
辻城の消えたドアが完全に静止したところで…一稀ははぁっと息をついた。
たまに思い出す、あの頃のこと。
バイト中バタバタしてるときに思い出すことは、そうないのだが。
忘れたい、でも忘れちゃいけない…記憶。
…とりあえず集中するんだ。
集中…。
流れる冷や汗を感じながら一稀は休んでいた手を再開させた。
.
最初のコメントを投稿しよう!