...ことの始まり...

5/10
前へ
/10ページ
次へ
「いいよー、気にしないで。無理そうなら言ってね」 あはは、と明るく笑う辻城に、一稀はいくらか救われたような気になった。 「ありがとうございます」 「じゃ、私は戻るね」 そういって辻城は持ち場へと立ち去る。 辻城の消えたドアが完全に静止したところで…一稀ははぁっと息をついた。 たまに思い出す、あの頃のこと。 バイト中バタバタしてるときに思い出すことは、そうないのだが。 忘れたい、でも忘れちゃいけない…記憶。 …とりあえず集中するんだ。 集中…。 流れる冷や汗を感じながら一稀は休んでいた手を再開させた。 .
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

403人が本棚に入れています
本棚に追加