...ことの始まり...

7/10
前へ
/10ページ
次へ
「…ん」 公園の出口付近に…人影。 二人、いや三人か。 若い男。 週末でもないのに、珍しい。 はじめはなんとなく違和感を感じたというか…。 それがだんだん胸騒ぎになったのは、その男達がニヤニヤと一稀を見ているのに気づいたからだ。 何だ…気持ち悪い。 早足のまま、男達の脇を通りすぎた。 その時。 「すみません」 不意に背中に声が掛けられた。 つられて、一稀の足が止まる。 「…っ」 止まるつもりなんて、なかった。 通りすぎた安心感から、気が緩んでいたのだ。 「すみませぇん」 二回目の声は、明らかに笑いを含んでいた。 「…はい?」 内心を悟られないよう、必死に感情を押し殺す。 振り向くと、一稀と同じくらいかすこし上くらいの三人が、一稀をニヤニヤと不躾に見ている。 一見すると、チンピラ風…というか。 一稀には全く縁の無いような部類の人間であることは明らかだ。 「菅野谷一稀さんですよねぇ」 「…そうですけど」 「芝原(シバハラ)さんって…ご存知ですよね?」 一人が口に出したその名前に、一稀の顔は凍りついた。 .
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

403人が本棚に入れています
本棚に追加