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「…ん」
公園の出口付近に…人影。
二人、いや三人か。
若い男。
週末でもないのに、珍しい。
はじめはなんとなく違和感を感じたというか…。
それがだんだん胸騒ぎになったのは、その男達がニヤニヤと一稀を見ているのに気づいたからだ。
何だ…気持ち悪い。
早足のまま、男達の脇を通りすぎた。
その時。
「すみません」
不意に背中に声が掛けられた。
つられて、一稀の足が止まる。
「…っ」
止まるつもりなんて、なかった。
通りすぎた安心感から、気が緩んでいたのだ。
「すみませぇん」
二回目の声は、明らかに笑いを含んでいた。
「…はい?」
内心を悟られないよう、必死に感情を押し殺す。
振り向くと、一稀と同じくらいかすこし上くらいの三人が、一稀をニヤニヤと不躾に見ている。
一見すると、チンピラ風…というか。
一稀には全く縁の無いような部類の人間であることは明らかだ。
「菅野谷一稀さんですよねぇ」
「…そうですけど」
「芝原(シバハラ)さんって…ご存知ですよね?」
一人が口に出したその名前に、一稀の顔は凍りついた。
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