ひねくれ者

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「1+1は?」 先生がそう聞いてきた。 「1です。」 僕はそう答えた。 だって、水滴を1滴ずつ足したって1滴になるから。 「こいつ馬鹿じゃないの?」 隣にいた奴が僕を指差して笑った。 それにつられてクラスのみんな笑った。 それから、もう何年も経った。 みんな大人になって、それぞれ自分の道を歩いている。 僕が起こした企業は、世界的にも有名になりつつある。 ある日、散歩をしていたら見覚えのある人が公園のベンチで座っていた。 あの時、僕を馬鹿と言った奴だ。 手には履歴書。 どうやらリストラされたらしい。 話を聞く限りそうだ。 そろそろ帰ろうとした時、僕はそいつにこう言ってやった。 「頑張ってね、馬鹿!」
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