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洗濯を終えて、食堂の前を通る。普通の日は、男客ばかりが目立つ。
「フリノフの奥さん、こんにちは。相変わらず、お美しい。娘さん達も、飛び切りの美少女だなぁ。どうだい、お茶でもご馳走するよ」
雑貨屋のオヤジさんは、一家に軽く声を掛けた。
「お茶!素敵だわ!」
ラリサは、そう言うと、食堂の方へ行こうとした。
「ヤンさん、元気そうで……私達、これから洗濯干しが忙しくて。失礼しますね」
ラリサは母親に腕を捕まれ、帰りの道を小言を言われながら歩いた。
「おじさん、親切に言ってくれたのに……」
「ラリサ、若い娘が大勢の男達の前に行っては駄目よ!気をつけなさい」
母親は、ハァとため息を吐く。
「はーい、気をつけるよ」
しょんぼりと返事をした。
「母さん、ラリサも反省してるし、もういいじゃない」
「タチアナお姉ちゃん」
優しく微笑む姉に、ラリサは、いつも天使か女神は、こんな感じなんだろうなと思う。
流れる様な金髪に綺麗なすみれ色の瞳。(私も金髪だけど、お姉ちゃんみたいに見えたらいいのになぁ)
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