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何事もなく、いつも通りの一週間が終わり、また始まる。
日曜日――――。
この日は、良い服を着て、一家そろって、教会に行った後、市場で買い出しをする日だ。
雪がハラハラと降り出して来た。
コンコン、コンコン。
出かけようとしていた時、訪問者が戸を叩いた。
「初めまして。私は氷の城の主、シェンラッド様の側近、オークネフといいます。今日はご主人にお願いがございます」
背の高い男は、微笑んで言った。格好は身なりの良い服装に、毛織物のマントを羽織っている。
「私に、何の御用で来られたのでしょうか?」
父親は不思議そうな顔をして、男が話すのを待った。
「あなたの、一番上のお嬢様を、シェンラッド様が見初められ、是非頂きたいと。ご承諾くだされば、豊かな暮らしは保証致します」
一同は、驚きの余り言葉を失った。
「何ですって!?タチアナお姉ちゃんを!?」
ラリサは、すっ頓狂な声を上げた。
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