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魔術師集団、秘密組織本部。
地下に設けられたこの施設のとある一室で、事件は起こった。
* * *
お世辞にも豪華とは言い難い簡素な造りの部屋。
その中でも比較的広めの二〇三号室。
そこに向かって、どこからか足音が近付いてくる。
徐々に大きさを増す単調な音とリズムが、広々とした廊下に響き渡る。
と、それが部屋の前で不意に途切れる。
入れ替わりに、シュン、と機械的な音をたてて灰色の自動扉が開いた。
扉の向こうから現れたのは、背が高く、均整のとれたしなやかな体躯の青年だった。
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