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学校のチャイムのような、僕が実家から持ってきた年代物の掛け時計が12時を告げる。
……約束の時間が来た。
ピンポーン……ピンポーン……
時計が12時を告げた瞬間、待ってましたというように僕の部屋にインターホンが鳴り響く。
「まさか……」
出来れば来てほしくはなかった。来なければ僕の平和は確保出来たと言うのに。
なんだかドキドキする。漫画の主人公達もこんな状況では緊張していたのだろうか。それともこれから訪れるかもしれない悲劇の予兆に恐怖していたのだろうか。
あれだけ退屈で暇だった毎日が今では非常に羨ましい。
全てはあのメールから狂ってしまった。
……だが落ち着け操よ。
確かにあのメールは本当のことを言っているようだが、今の今までに周りに目立った変化はないじゃないか。
もしかしたらあれは友達のイタズラで、今扉の前に立っているのは僕の反応を想像してニヤけている友達かもしれない。
出来ればそうであってくれ。
僕はそう願いながら扉に近づき、ゆっくりと扉を開けた。
扉の前に立っていたのは、大学の友達の田中だった。
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