元旦

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『10秒前! 9! 8!……』 大晦日に組まれた特番の司会が、カウントダウンのボリュームを上げた。 ……毎年やってるのにさ、こんなもの。 僕は目まぐるしく点滅するテレビを見ながら一人そう思う。 どうせ2011年もこれまでと同じで、何の変化も無くただひたすらに同じような毎日を過ごしていくのだろう。 でも僕がこうして毎年寝るのを我慢して新年を迎えているのは、多分何かしらの変化が今年は起こるかもしれないと期待をしているからかもしれない。そして何の変化も起こらないことを悟り、失望の中眠りに就くのだ。 今この瞬間に僕はもう、何時ものように悟りかけ、寝る準備に入っていた。 『3! 2! 1!!』 カウントダウンもとうとうクライマックス、スタジオのボルテージも最高潮となる。 「……どうせ今年も同じような毎日を過ごすんだろ」 『……0ッ!!』 司会者がそう高らかに叫んだ瞬間。 『僕達は~運命~の糸で操ら~れた踊る人形!!』 「……メール!?」 時計が0時を告げたその瞬間、僕の大好きなアーティスト[踊る人形]の記念すべきファーストシングル、[踊る人形~偽りの愚道者~]が僕の携帯電話から鳴り響いた。
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