1087人が本棚に入れています
本棚に追加
「落ち着け……大丈夫だ。こんな時代にそんな馬鹿げたこと……あるわけないだろ……?」
なんとか高ぶった気持ちを抑えることに成功する。それにつれ、思考回路もだいぶ冷静になっていった。
「……多分、いや、絶対これはイタズラメールだろ。ただ僕が何か起こるかもしれないって期待してたから必要以上に驚いただけだ……。そうだ、そうに決まってる……」
自分で自分を納得させる。それこそが自分を取り戻す一番の方法だ。
……でも僕にはこのメールにはどうやっても納得することが出来ない部分が三ヶ所あった。
一つはアドレスに携帯電話会社特有の、たとえば最後の方に必ずつく〇ocomoといったものが後にも先にもついていないことだ。
これは明らかにおかしい。
どうやったって必ずついていなきゃならないものがついていない。この事実はこの不気味なメールに更に本格味を与えている。
果たしてこのメールは本当にイタズラメールなのか。抑えていたはずの気持ちが膨らんでいく。
次におかしいのはなぜ僕の名前が分かっているのか、ということだ。
普通こういったメールはアドレスこそ知られてはいるものの所有者の名前までは絶対に書かれていない。というか書くことが出来ないのだ。
なぜなら個人情報というものは法律によって厳重に守られているから。
しかしこのメールの送信者、つまり神はその名の通り法律という壁を軽々乗り越え僕の個人情報を手に入れた。
いくらなんでも、このメールはイタズラにしては度が過ぎる。
最初のコメントを投稿しよう!