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カルサア北門から出て道なりに行くとクラバル平野という場所に出る。
その平野のど真ん中。それは、まるで自己主張の激しい子供みたく目立っていた。
何せ、この広い平野にただ一軒だけ立っていいて、その館の周りを囲む様に大勢の黒いローブを纏った人達が守っているのだ。
目立たない訳がない。
その館の中、外にいる奴らと同じ黒いローブを纏った男が
「閣下っ、閣下ぁー!」
と悲鳴に近い声を上げながら、この館の中で一番豪華な扉を開ける。
中にいたのは外の奴らと違い、白いローブを纏った男三人、女二人、計五人の人達。
黒ローブの男は、迷わず一番奥にいる白ローブの男に近付く。
「閣下、た、大変です。一大事です。ヤバイです。」
話しかけられた白ローブの男は、額に手をあて盛大にため息をついた。
「…落ち着け、冷静に、言葉を選び話せ。」
黒ローブの男は何度か深呼吸をし、息を整えて改めて一言で言う。
「セフィララ姫様に掛けた呪いを何者かに解呪されました。」
「あぁ、もうか。…予想より早かったな。」
なんと、白ローブの男は呪いが解かれる事を予想していた様だ。
びっくりして、つい自分の主を見つめる黒ローブの男。
「報告は、それだけか?」
「はゎ、はいぃ!」
慌てたせいか、へんな応えになってしまった。
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