第一章 出会い

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ぴちゃん 何か冷たい物が額に当てられる。 それで、アンゼルは意識を取り戻した。 辺りを見回すと、ここが洞穴の中だと分かる。 そして目の前には銀髪の少年が座っている。 色を識別出来るのは周りが明るいからなのだが、火の類ではない。 頭上にポワっと光っている複数の球体が火の代わりになっている。 「気付いた様ですね。」 「…ここは?」 「誰も知らなかったオレ達の隠れ家だ。」 返ってきたのはブスっとした声。 少年の後ろから。 後ろにはもう一人、少年がいた。 燃える様な紅い髪。 「傷は大丈夫ですか?」 気遣う少年の声。 ―傷? 「―っ痛。」 何のことか分からなかったアンゼルは、起き上がろうとして軽く鈍痛に襲われる。 痛みの走った頭に手をやると、普通の物よりかなり大きい絆創膏がクロスして出っ張りに貼ってあった。 「あ、急に起き上がらないで下さい。」 少年は思い出したかのように言う。 …もう遅いが。 その後、しばらくして怪我の痛みが少し引いて 「オッサン、名前は?」 唐突に、紅髪の少年が聞いてくる。 「オ、オッサン!? せめて、お兄さんって言ってくれ…。」 「どっからどう見ても30過ぎのオッサンじゃん。」 それに頷く銀髪の少年。 「俺はまだ26だー!!」 エェー!と、おもいっきり驚く少年たち。 …正直、傷付いた。 気をとり直して 「それと、名前を尋ねる時はまず、自分から名乗るものじゃないか?」 と、逆に聞き返す。 すると素直に名乗る。 「ボクはアルファード。 彼は―」 「…ビルフォードだ。」 今度は、こちらも名乗る。 「アンゼルだ。」
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