10/24
前へ
/173ページ
次へ
百合子は、ドアに手をかけて、思い切り開けたが願いは叶わなかった。 既に数字教師は来ていて授業を始めていた。 二人はもう限界を超えていて、立っているのが、やっとだった。 そんな二人を見た数字教師は、 「お前たち? 大丈夫か?」 と声をかけた。 「す、すみません ……お、遅れました……」 百合子は答えるがやっとだった。 「月丘が遅刻だなんて、初めてだなぁ? 井上は年から年中だがな」 数字教師のセリフにクラスメイトがどっと受けている。 洋子は、 「う、うるさい!!」と叫ぼうとするが、はっきり言葉になっていない。 「まぁ、いい。二人には先週の応用問題をやってもらうか?」 楽しんで言っている数字教師へ二人共も逆らえなかった。 数字の応用問題を解いて、許してくれるならと百合子はそう思い。 なんとか一歩踏み出した。その時に視界がぐらつき真っ暗になっていった。 百合子の様子に教室中が騒然となった。 誰かが百合子の名前を必死で何度も呼ぶ声を聞いた。が、次第にその声が遠くなって行くのを感じた。 次の瞬間。どさっと鈍い音を発てて倒れ込んでしまった。 百合子は意識を失った。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

705人が本棚に入れています
本棚に追加