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百合子は、ドアに手をかけて、思い切り開けたが願いは叶わなかった。
既に数字教師は来ていて授業を始めていた。
二人はもう限界を超えていて、立っているのが、やっとだった。
そんな二人を見た数字教師は、
「お前たち? 大丈夫か?」
と声をかけた。
「す、すみません ……お、遅れました……」
百合子は答えるがやっとだった。
「月丘が遅刻だなんて、初めてだなぁ? 井上は年から年中だがな」
数字教師のセリフにクラスメイトがどっと受けている。
洋子は、
「う、うるさい!!」と叫ぼうとするが、はっきり言葉になっていない。
「まぁ、いい。二人には先週の応用問題をやってもらうか?」
楽しんで言っている数字教師へ二人共も逆らえなかった。
数字の応用問題を解いて、許してくれるならと百合子はそう思い。
なんとか一歩踏み出した。その時に視界がぐらつき真っ暗になっていった。
百合子の様子に教室中が騒然となった。
誰かが百合子の名前を必死で何度も呼ぶ声を聞いた。が、次第にその声が遠くなって行くのを感じた。
次の瞬間。どさっと鈍い音を発てて倒れ込んでしまった。
百合子は意識を失った。
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