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★★★
朝だというのに、
7月の太陽は、既に厳しい暑さがじわりじわりと感じてきていた。
バス停でバスを待ってるのはさすがに、キツい。
制服の中の素肌からじっとり、と汗をかくのを感じる。
百合子の肩へポン、と手をかけて、
「おはよー! 百合子」
満面の笑顔でクラスメイトの《 井上 洋子 》が挨拶してきた。
「おはよう。井上さん」
「洋子で良いよー」
洋子は続けて、
「見たよ、掲示板。またテストトップ。満点に近い成績なんて、凄いよ!」
「そんなこと無いよ……」
「まあまあ、謙虚しなさんな。ところで、バスまだ来ないのかなぁ?」
「うん。まだみたいだね」
「まぁたっく!! 毎朝、暑いのに。バス待ってる方は大変だよ! 嫌になるよね?」
「ほんとに」
百合子は洋子の意見に同意した。
★★★
「夏樹ー」
《 村上 夏樹 》は、ぼーっと、学校に登校して来る。
学生達を眺めていた。
「何、ぼーっとしてんだよ! さっきから、呼んでいるのに!?」
親友の《 松本 学 》に話しかけられて。
夏樹はぶっきらぼうに、
「あぁ、おはよー」
「あぁ。おはよー、じゃなくて!!」
さすがの夏樹でも何だよ!?
人がせっかく挨拶しているのにとムカついている。
「で、学なんだよ?」
「曲!! 新曲できたか? 次のライブ用の!?」
夏樹は、ますますムカついてきた。
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