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「新曲!? 知るか!!」 「知るか-!! じゃ無くて……分かってるだろ? 俺達のバンド生命はお前の曲と声! そのルックスにかかってるんだ!! 頼むからさぁ-!」 「何もかも、俺に頼るな! 大体、お前や他のメンバーの奴らも作ればばいいだろ!?」 夏樹は学を睨み付けて、怒鳴った。 「悪い、夏樹。そんなに怒るなよ。ほんとうに、ごめん」 夏樹は困っている学を見て。 まぁ、いっか。いつものことだ、と思い。 首を縦に二度頷きながら。再び、窓の外を眺めだした。 学は夏樹の様子を見て、訊いた。 「また、考えているのか? あのバンドの事を……?」 「あぁ、まぁな。俺が音楽始めたきっかけだからな」 夏樹は同じ姿勢のままで答えた。 学は、ふいに話題を変えた。 「おぃ、夏樹。緑女子高の子から、告白されたって?」 「あぁ。そんな事もあったな」 「そんな事って!? お前なー! あの子を狙ってた奴ら、わんさか居たんだぞ! ウチの学校にも」 「知ってる」 相変わらず、外を眺め続けながら夏樹は続けて、 「俺、忘れらない子がいるんだ……」 と言った。 学は何も言えなかった。 それは夏樹と行動を共にやって来た親友だからこそ、胸の内にあることを知っているからだった。 あの、伝説のバンドのボーカルのことだと。
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