時は来た

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天は俺を見放さなかった。 俺の家は共働き。 父と母、二人で会社を共同経営していて、いつも帰りは遅い。 そのおかげで俺は料理が上手い。 来週、一週間ほど両親は出張で、家にいない。 きた。 きたキタ。 きたキタ来た~~~っ!! 大チャンス到来! こりゃあモノにしなければ、男が廃る! 幸い両親は放任主義。 俺も優等生。 この前のテストは散々だったけど挽回すべく毎日勉強。 その姿も見てるから、俺一人でも大丈夫、と信用されてる。 ふっふっふ。 誘うぞ~! 俺の手料理、ってのをネタにすれば、食いしん坊のナオは、必ず食い付いてくる! あ~神様ありがとう☆ このチャンス、絶対逃さない! 俺は、神に礼をして、早速ナオに電話した。 「あ、ナオ?来週の土日、暇?」 『ん?ああ、暇だけど。』 よし! 「じゃあさ、ウチに泊まりに来ない?!両親いないし…この間、泊めてくれたお礼に、料理をご馳走したいなぁと思ってさ!俺の手料理☆どう?!」 『え…う~ん…』 あら? 絶対、すぐ食い付いてくるかと思ったのに… 「だ、だめ?」 恐る恐る問う俺。 『いや…うん…わかった。』 や… やったあぁぁっ!! 俺は興奮気味にナオにバイバイして、電話を切った。 俺は、この時のナオの微妙な変化に、気付いてやれなかった…
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