~第1章~

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  食卓の椅子に腰掛け、リンゴを手に持ってみる。     ほんのりと赤く、甘すっぱい香りが鼻をよぎる。     「はぁ…」     何が楽しくて毎日生きてるんだろうなぁ。     毎日毎日同じ事の繰り返しで…生き甲斐も無ければ楽しみも無い。     若い頃に、もっと趣味でも持っておけば良かったと今更ながら思う。     パッとしない大学に行って…パッとしない会社に勤めて…今じゃ部下からも上司からも客からも煙たがれる地味な営業課長だ。     転職したくても…この歳ではそうそう仕事なんてあるわけがない。     お先真っ暗とはこの事だ。    
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