第1話 スケーティングアワー

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顔を赤らめる私を見て、 少年は首を傾げた。 「へんなの」 その一言が心の奥底へと突き刺さる。 ショックだ・・・あからさまな私の態度を見て少しは照れてくれてもいいのに。 まあ確かに、寝る前だったから化粧もしてないし服もバイト帰りのまんまで可愛くないけど・・ 「帽子 拾ってくれてありがとう」 「あ、うん」 帽子を手渡すと 彼は地面を蹴り 闇夜の中へと消えて行った。 「あーあ、行っちゃった」 意気地がない事に 深く溜め息をつき、 私はボードの上に腰を掛けた。 せめて名前だけでも・・ 「かっこよかったなぁー」 この地域では見掛けない少年。 もう二度と逢う事はないだろう。 そう思うと少し切なくなった。 「はぁ・・帰って寝よ」 結局 私は練習する事もなく 家に帰り朝を迎えた。
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