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――この世の中は腐っている。
「はいはいっ! 只今お持ちしまーす!!」
鮮やかに彩る町並みの遥か上。
「お待たせしました。ビール二丁おまち!」
建ち並ぶビルディングの屋上にあるビアガーデンで、私は働いている。
「・・きゃっ!?」
「げえへへへ」
時にこうして酔たくれた客に
スカートをめくられる事も
しばしば・・
だけどこんな事で
私はめげたりはしない。
「リリアちゃーん、時間だからもうあがってもいいよ」
「お疲れ様です 店長」
颯爽とカウンターの奥にある
更衣室へ駆け込み、
私は私服に着替えた。
ちなみに『リリア』というのは
この『バーチャル世界』で
呼ばれている
私のハンドルネーム。
本名は朽木桜(くちき さくら)
なんというか
縁起の悪い名前。
“春咲く桜が朽ちた木になる”
なーんて私の青春が
散っていくような
そんな名前だ。
「リリアちゃん。今月の給料は、どう振り分ける?」
「リアと電子マネーに半分ずつで・・じゃあ、お疲れ様でーす!」
今や世界中で
半数を超える人達が
この『実体験型バーチャルゲーム:セルフォン』を利用している。
私もその中の一人。
何故このゲームが
人気なのかというと、
現実世界・・つまり
『リアル』と変わらない
世界観であるということ。
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