第1話 スケーティングアワー

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――死んだ・・ PCUにはセルフォンを接続していないし、今から起動させても間に合わない。 (せっかく貯めた電子マネーもBDもぱーかぁ・・) バグリアのコアから放たれる光線を浴びてしまうと、全てが“無”へと帰されてしまう。 プレイヤーに危害を加える事から危険視されている存在。 バグ:バーチャル世界を制御するコンピュータープログラムの製造(コーディング)上の誤り、欠陥を表す。 バグに浸蝕された区域は無空間となる。 「なにぼーっとしてるの? 行くよ」 「え・・」 私は絶望しているというのに彼は希望に満ち溢れた顔をしていた。 操縦桿(そうじゅうかん)を握る私の手に感じる温もり。 「さあ、行こう!」 彼は私の手を握り、操縦桿を押し出した。 「グギィヤァァアッ!!」 何とも言えない悲痛な叫び声が耳に障る。 まあ確かに目ん玉 殴られたら叫んでしまうか。 「ボードは無いの?」 「あ、あるよ! 今すぐ出すから」 高原の台地に転送した私のジェットボード。 これもまたピンク一色。 たんと飛び乗りジェットを噴射させた。
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