第1話 スケーティングアワー

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私は一階に降りる為に エレベーターに乗ると まず目に映るのは・・ “ゲーム中毒による餓死 死亡者多発!! 一日一回ログアウト!!” と書かれた、 私達プレイヤーに 注意を促す貼紙があった。 バーチャル世界と繋がる 現実世界はリアルタイム。 つまり私が今居るこの世界で 一日が経てばリアルでも 一日が過ぎている訳だ。 バーチャル世界で食べた物は リアルには反映されない。 その事が原因で リアルに帰る事を 怠った人は、 餓死してしまうのだ。 「よーし・・やるぞ!」 エレベーターを降り玄関口で 私は手にしている スケートボードを地面に置き 「ひょい」と飛び乗り地面を蹴った。 帰り道は長々と続く Sを描いた下り斜面。 その道をボードで駆け抜ける事が私の日課となっている。 最初は緩やかに始まり、 徐々に流れる景色が速くなる。 心地良い夜風にあたりながら 颯爽とボードで駆け抜ける この感覚・・ 最高に気持ちいい。 特に此処の右カーブ。 膝でバランスをとりながら 身体を斜めにし インコースぎりぎりを攻め抜けた時に得られる優越感。 「う~ん、最高ッ!」 風を感じ「すーっ」と 空気を吸い込めば 自然を感じる事が出来る。 それは家に帰り着くまで続く自然の片道切符。 この世界は綺麗に見える――
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