第1話 スケーティングアワー

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「それで憲太は何しに来たの?」 「これ買いに来た」 そう言って一冊の本を 私の前に突き出した。 “ざ・スポーツ” 何と言うかそのまんまの雑誌。 スポーツ特集記事を 月刊誌として毎月一日に 発行している メジャーな物だった。 「あ、ライトスタンスのキールだ」 表紙を飾っていたのはバーチャル世界で有名なあのBDライダー『キール』がスケートボードで滑走している姿だった。 私が普段からボードに乗っているのはバーチャル世界で発行されている雑誌『World:End(ワールドエンド)』でキールが、 “BDのボードテクニックはまず身体で覚えるものだ!” と言った事が記事に載せられていたのを見てスケートボードを始めたのだ。 「やっぱ格好良いなぁー」 まじまじと表紙を見詰めて 私はぼやいた。 「そうか?」 まあ男からしたら彼の魅力は分からないのだろうけど・・ ボードで充分練習したし、いよいよ明日はBDで初挑戦・・楽しみだ。
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