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不意に、天井の目が一点を見つめ、一瞬見開かれた。そして走り出す。
少女は舌打ちと共に、脇に抱えていた弓を構えた。
舌打ちが、別の場所からも上がった。
天井が見ていたのは、弓を引き絞り、今にも放たんとしていた黒い鎧を着た兵士。
兵士はとっさに狙いを少女から変え、矢を放った。
矢が天井の首の中心を砕き、貫き、少し離れたところに落ちる。
天井の体は矢が貫通した時の衝撃でほんの少し浮き上がり、後ろに倒れこむ。
赤い液体がゆっくりと流れ出し、地面に染み込んでいく。
ああ、死ぬんだろうな。天井は何となくそう思った。
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